Quoraの回答より

高い醤油は何が違うんでしょうか? - Quoraの回答より

https://qr.ae/prsPHK 醤油屋として、回答させていただきます。 偉そうに聞こえると申し訳ないですが、なかなかいいご質問だと思います。というのは、醤油の業界にいる者でもパッと回答が出てこない質問だからです。一つ一つ要素を切り分けながらお答えします。 ①原料 醤油メーカーも分類的には製造業ですから、高い原料を使えば、それだけ販売価格が高い醤油となります。醤油の原料は、基本は大豆、小麦、塩です。九州や中国地方、北陸地方、信越地方にはさらに、大豆や小麦のタンパク質を分解して作るアミノ酸液を加えた醤油がメジャーです。そして、アミノ酸液を使うエリアでは同時に砂糖や甘味料を加えられることが多いです。 地図がありますので、リンク先をご参照ください。 三 「調味料」の地域性(味噌/醤油編) | 多彩なる日本食 | 業態別お役立ち情報 | 味の素KK業務用商品サイト 「醤油」「味噌」などの調味料も、日本各地で特色のある産品が誕生しています。生産方式や原材料の違いなどにより多種多様な種類があり、それぞれの地域でなくてはならない味になっています。 https://foodservice.ajinomoto.co.jp/article/nihonshoku/nihonshoku_vol03/ 醤油にアミノ酸液や甘味料を加えることについての是非については、さまざまな意見がありますが、ここでは論がずれますのでここまでにして、本論に戻ります。 大豆 では、大豆から見てみましょう。そもそも醤油に使われる大豆はどんなものなのか。ショックを受けられるかも知れませんが、醤油に使われる大豆の多くが外国産です。 国産大豆の需要推計と業種別産地品種の需要状況|公益財団法人日本特産農産物協会 これによると、平成19年度のみそ・しょうゆに使われている国内産大豆の比率は7%です。92〜93%が外国産なんですね。なぜ外国産が多いのか、要因は様々ありますが、一つは自給率の問題です。 日本の国内でも、もちろん大豆は昔から作られてきました。しかし、外国に比べて大規模で効率的な生産は平地の狭い日本では難しく、どうしても生産量は増やしにくい状態のようです。また、近年の天変地異により、国内の大豆価格は高騰しています。その結果、日本の大豆の自給率は平成29年は7%。 サラダ油などの原料となる油糧用を除いて食品用に限っても25%なのです。 また、醤油に外国産大豆が多く使われる要因として、もう一つ。脱脂加工大豆の存在です。日本で作られる大豆のほとんどは、食用として生産されます。しかし、世界的に見ると、大豆は油を絞るために生産されているのです。 大豆の生産量の91%は,大豆油とその搾りかす製品である大豆粕の 原料として用いられ,残りの9%が種子・ その他となっている(07年,USDA)。 このような需給バランスの中では、副産物である大豆粕(=脱脂加工大豆)の方が、輸送費を含めても安価なのです。 ※ 論を少しだけ脱線しますと、脱脂加工大豆のことを嫌われる消費者の方もおられますが、実際に製造の現場から言わせていただくと、丸大豆より脱脂加工大豆の方が美味しい(美味しいの定義にも色々ありますが、業界内の人たちの感想を見ていると脱脂加工大豆の方が美味しい)醤油ができます。科学的にも実証されており、油を絞る過程で大豆中のタンパク質が、酵素による分解をされやすい状態に変化するのです。醤油を造るためには大豆の油は必要ではなくむしろ邪魔なくらいなので、油を絞った後の脱脂加工大豆の方が醤油造りには非常に適した状態だと言えます。 以上から、大豆の自給率が低いのは、外国産の豊富な脱脂加工大豆(または搾油用の大豆)が安価に手に入ることが理由の一つなのです。 さて、それでも国産大豆を使うことにこだわれば、無論原料価格は高くなります。国産大豆にこだわって造っている醤油製品は必然的に価格が上がります。...

高い醤油は何が違うんでしょうか? - Quoraの回答より

https://qr.ae/prsPHK 醤油屋として、回答させていただきます。 偉そうに聞こえると申し訳ないですが、なかなかいいご質問だと思います。というのは、醤油の業界にいる者でもパッと回答が出てこない質問だからです。一つ一つ要素を切り分けながらお答えします。 ①原料 醤油メーカーも分類的には製造業ですから、高い原料を使えば、それだけ販売価格が高い醤油となります。醤油の原料は、基本は大豆、小麦、塩です。九州や中国地方、北陸地方、信越地方にはさらに、大豆や小麦のタンパク質を分解して作るアミノ酸液を加えた醤油がメジャーです。そして、アミノ酸液を使うエリアでは同時に砂糖や甘味料を加えられることが多いです。 地図がありますので、リンク先をご参照ください。 三 「調味料」の地域性(味噌/醤油編) | 多彩なる日本食 | 業態別お役立ち情報 | 味の素KK業務用商品サイト 「醤油」「味噌」などの調味料も、日本各地で特色のある産品が誕生しています。生産方式や原材料の違いなどにより多種多様な種類があり、それぞれの地域でなくてはならない味になっています。 https://foodservice.ajinomoto.co.jp/article/nihonshoku/nihonshoku_vol03/ 醤油にアミノ酸液や甘味料を加えることについての是非については、さまざまな意見がありますが、ここでは論がずれますのでここまでにして、本論に戻ります。 大豆 では、大豆から見てみましょう。そもそも醤油に使われる大豆はどんなものなのか。ショックを受けられるかも知れませんが、醤油に使われる大豆の多くが外国産です。 国産大豆の需要推計と業種別産地品種の需要状況|公益財団法人日本特産農産物協会 これによると、平成19年度のみそ・しょうゆに使われている国内産大豆の比率は7%です。92〜93%が外国産なんですね。なぜ外国産が多いのか、要因は様々ありますが、一つは自給率の問題です。 日本の国内でも、もちろん大豆は昔から作られてきました。しかし、外国に比べて大規模で効率的な生産は平地の狭い日本では難しく、どうしても生産量は増やしにくい状態のようです。また、近年の天変地異により、国内の大豆価格は高騰しています。その結果、日本の大豆の自給率は平成29年は7%。 サラダ油などの原料となる油糧用を除いて食品用に限っても25%なのです。 また、醤油に外国産大豆が多く使われる要因として、もう一つ。脱脂加工大豆の存在です。日本で作られる大豆のほとんどは、食用として生産されます。しかし、世界的に見ると、大豆は油を絞るために生産されているのです。 大豆の生産量の91%は,大豆油とその搾りかす製品である大豆粕の 原料として用いられ,残りの9%が種子・ その他となっている(07年,USDA)。 このような需給バランスの中では、副産物である大豆粕(=脱脂加工大豆)の方が、輸送費を含めても安価なのです。 ※ 論を少しだけ脱線しますと、脱脂加工大豆のことを嫌われる消費者の方もおられますが、実際に製造の現場から言わせていただくと、丸大豆より脱脂加工大豆の方が美味しい(美味しいの定義にも色々ありますが、業界内の人たちの感想を見ていると脱脂加工大豆の方が美味しい)醤油ができます。科学的にも実証されており、油を絞る過程で大豆中のタンパク質が、酵素による分解をされやすい状態に変化するのです。醤油を造るためには大豆の油は必要ではなくむしろ邪魔なくらいなので、油を絞った後の脱脂加工大豆の方が醤油造りには非常に適した状態だと言えます。 以上から、大豆の自給率が低いのは、外国産の豊富な脱脂加工大豆(または搾油用の大豆)が安価に手に入ることが理由の一つなのです。 さて、それでも国産大豆を使うことにこだわれば、無論原料価格は高くなります。国産大豆にこだわって造っている醤油製品は必然的に価格が上がります。...